7月の初旬からフランスのある会社とコンタクトを取っていて、なんとか提携関係を結びたいと考えていました。
7月から8月にかけて何回かプロポーザルを提出し先方も関心を持ったようです。8月の中旬に最終的な詰めを行うため渡仏することを決め、日程は、ある仕事が一段落した10月の下旬にすることにしました。渡仏するに当たって今まで接触のあった何社かも訪問しようと、パリに9日間滞在の予定で航空券とホテルを手配したのです。準備万端、ことは順風満帆に進みそうでした・・・・・
ところが・・・出発も迫った10月18日、予約したホテルにレイト・チェックインになる旨、電話したところ、なっ！なんと、「あなたはキャンセルになっています」とのお言葉。そんな馬鹿なと予約確認メールを転送して食い下がりますが、なんとも埒があきません。熾烈な押し問答があった末、どうあってもこのホテルに宿泊することは不可能な情勢と悟りました。
そこで「替わりのホテルをしっかり押さえておくように！」ときつくお達しを下しておいて、ホテルが確保できたらメールで知らせるからとの先方の申し出を信じたところ、待てど暮らせどメールは来ません。矢も立てもたまらず、電話を入れて「どうなってんだ！」と詰問しますが、「今、ホテルをあたっているところだ。朝になったら連絡するから」となんとも頼りない返事。お前やる気があるのかよー？！そして現地時間の朝になっても予想したとおり連絡がないので、鬼のような形相になって電話を入れます。「おい！替わりのホテルはどうなってんだよ？こっちは切羽詰ってるんだよ。少しは事情を察しろ！」
「それが、なかなか難しいんですよ。八方手を尽くしてやってるんですけどねえ。実際、非常に難しい」
この時点でおカブの受話器を持つ手はわなわな震え、怒りのため血圧は２０ほど上昇していたように思います。「もう自分でホテルを探すからいい！」叩きつけるように電話を切りました。
とはいえ、もう夕方の４時を回っています。明日の10:30には成田からフライトという絶体絶命の修羅場を迎えました。まずは、パリのホテル予約サイトを開いて片っ端からホテルを検索しますが、空が見つかりません。この時期食品見本市が開かれていて、ホテルはどこも満室のようです。
かーたんに「今なら、手数料は取られるけれど航空券をキャンセルできる。出張は取りやめる！」と宣言しました。しかし、かーたんは強硬に反対します。「これまで準備してきていまさら行かないという方はない。行くだけでも行ってらっしゃい」
まあ、最悪、パリに着いてホテルを探すという選択肢もあります。
そこで、ホテル・チェーンの日本代理店に電話をして事情を説明し、なんとか系列のホテルを確保してもらえないかと交渉し、かろうじて到着日と最終日のホテルを確保できました。しかしその日以外はどこも空がないとのつれないお返事。
そこで再び予約サイトを開いてホテルを検索しますが、ちょうどこの時期は満室ばかりで、２７日にマドレーヌに近い「ホテル・クイーン・マリー」を確保できただけで、その他は空き部屋が見つかりません。
野宿を覚悟してパリの現地で宿を探すというのは、ご免こうむりたいところです。そこで、パリの滞在を諦めて地方に宿を求めることにしました。もう、この時点で、ビジネスでの訪問というこの旅行の目的は完全に放棄しました。
ほとんど全ての予定をキャンセルして、メインの取引先と最終日にごく短時間のミーティングのアポを入れました。
できるだけ安い宿賃のところで8日間やり過ごさなければなりません。そこで目に付いたのがエクス・アン・プロヴァンスにある一泊45ユーロのプロモーション・レートを掲げた「シテア」というレジデンス・ホテル。パリからTGVで3時間の南仏にあります。もう、この際どこでもいい！！TGVのチケットをネットで手配して、すべての準備が済んだのは夜中の2時過ぎでした。そして荷物のパッキング。ほとんど徹夜で出発の朝を迎えました。チャンチャン。

少し、うとうとして5時半起床。かーたんに送ってもらって、６：００自宅発。がらがらとスーツケースを引きずって下北沢に向かいます。
旅行中、あちこち移動しなければならないので、少しでも身軽になるために仕事道具のノートPCは荷物から省きました。
旅行に出かけるのにもかかわらず、心は重く処刑場にひかれていくような心境です。
6:51新宿発のNEXに乗り込みます。車中では、少しでも気分を盛り上げるため？恒例の400円也の赤ワインを空けます。
しかし、成田空港が近づくにつれ成田エクスプレスの車窓から見られる風景はまことにいいものだと思います。林のまにまに点在する水田。まさに日本の田園風景。特に海外から帰ってきたときにまず目にするこの風景は、まさに再び日本に帰ってきたんだなという思いを強くします。
ここまで来ると諦めがついたのか、大分心に余裕が出てきました。
8:10に成田空港第一ターミナルに到着し、まずはエールフランスのカウンターでチェックインします。
その後、旅行傷害保険はアメックスのクレジットカードに付帯のもので済まそうとしたのですが、万が一のことを考えてＡＩＧの傷病治療主体のばら売りの保険に入りました。締めて3520円。そしてこれも万が一を考えて、10万円を円建てのトラベラーズ・チェックに替えました。あくまで万が一のときの備えのためで何もなければ換金しない積もりなので、為替変動と帰国してからの換金手数料がかからない円建てにしました。
搭乗前にいろいろやっていたのでラウンジを利用したり、カフェでビールを飲んでいる暇がなくなりました。チェックインする時に搭乗が早まり9:30からだと聞かされていたので、早めに出国手続きを済ませます。
9:50から搭乗が始まりました。席は事前に通路側を予約してあります。エコノミーのエリアに入る前にビジネスの席を通り抜けるのですが、このときオカブは非常に惨めな気分になります。いいんだ、おいらはどうせ負け犬なんだ、と意味もなく思います。
機は定刻通りに離陸。水平飛行に入ると待望の機内食。温かいお絞りの後、アペリティフ。オカブはシャンパンと意地汚くもリカールももらいました。空きっ腹に飲んだのでいい心地に酔いが回ってきたところで食事。メインはビーフの煮込みをチョイス。アントレはサーモンとひらめのカルパッチョ。赤ワインにデザートはガトー・ショコラ。うれしいことにエール・フランスのディジェスティフが復活していました。アテンダントのおっさんから薦められるままに、カミユのコニャックのミニチュア瓶を４本も空けてしまいました。

成田エキスプレスの社内。いつも思うのですが、早朝の往き は満員ですが、帰りはガラガラです。

これから搭乗するエール・フランス機。国際線はエアバスが主 流となって、いつも満席のため、ゆったりと出来ない。

アペリティフ。シャンパーニュとリカール。エコノミーでシャ ンパンを飲めるのはエール・フランスの決め手かな？

食事。エール・フランスの機内食は本当に美味しいと思い ます。美食の国だから？理由ははっきり分かりません。

ディジェスティフのコニャック何杯もケチらずにくれるので 、べろんべろんになるまで呑んでしまいました。

晩の軽食。ハムとコールド･ミート。サラダ。フルーツ・カク テル。ワインは抜き。二日酔いでした。

機内では何をするということもなく、いつものように世界地図と睨めっこ。今、シベリア上空か、ふむふむなどと一人旅の所在無さを自ら慰めます。
窓の覆いが閉められおやすみタイム。大方の乗客が寝入ったようでした。その間にギャレーへ行ってカップ･ラーメンをゲット。そのうちうとうとと３時間くらい眠りに入りました。
やがて、機は午後のヨーロッパに入り軽食タイム。さっきのアテンダントのおっさんにワインはどうかと薦められますが、二日酔いが残っていて、酒に食指が湧きません。結構、と断ると、「どうしました？身体の調子が悪いのですか？」と心配されます。「コム・サヴァ！」と強がって見せますが体調はすぐれません。オレンジ･ジュースを所望して酔い覚まし。
食事が終わり配られた入国カードに記入などしているうちに、定刻通り１６:１５にシャルル・ドゴール空港に到着。
入国と、バゲージ・クレームは問題なく終わり、２Ｆの到着ロビーに出ます。さて、当面の目的のロワッシー・バスの停留所を探しますがどこにも見当たりません。なにせ経費を切り詰めた貧乏旅行のためタクシーなどは乗ることが出来ません。レンタ・カーのカウンターにいたおねえちゃんに聞くと、ロビーを挟んだ向こう側だといいます。行ってみると確かにバスの待合所がありましたがエール･フランス･バスのものです。待合所でバスを待っているエルフラのアテンダントに「ロワッシー・バスの乗り場はどこか？」と聞くと「さあ。そういえばロビーの中ほどにあったような気がしますが」と頼りないお答え。大分ロビーの中をさまよって、やっと乗り場を探し当てました。
17:00、程なくバスがやってきて、オペラまでの乗車賃8.5ユーロを運転手に払うとレシートをくれます。２両つなぎのバスの中ほどに荷物を置く棚があり、スーツ･ケースはそこにしまうことが出来ます。バスは夕刻のパリ郊外から市内に入り渋滞もなく40分ほどでオペラのバス発着所に到着しました。
ここからオペラのすぐ裏のマチュラン通りをまっすぐ徒歩でたどり、今日の宿の「ベストウェスタン・オペラ・シドニー」にチェック・イン。レセプショニストのお姉ちゃんに、部屋にバス・タブはあるかと聞くと、「まったく、日本人はみんなバスタブ、バスタブとうるさい！」とご機嫌斜め。部屋は予想とおり狭いもののダブル・ルームのシングルユースで、小さいながらバスタブは確かにあります。
疲れたので、レストランで食事をする気にもなれずサン･ラザール脇のケバブ屋まで行って、アダナ・サンドとハイネッケン締めて6.5ユーロを仕入れて部屋で食べました。そして、早々にバスに入った後はベッドで前後不覚に寝入りました。

ロワッシー・バスの車内。金曜の夕刻は渋滞が激しいの で大分時間がかかると言われているが40分で着いた。

オペラ座脇のロワッシー・バス発着所。右岸のホテルに 宿泊している場合は場所的にエルフラ・バスより便利。

20日に泊まったベストウェスタン・オペラ・シドニー。一泊130 ユーロ。立地は最高だが内容的には可もなく不可もなし。

ケバブ屋でテイク・アウトしたアダナ・サンドとビール。ボリ ューム満点。お腹を膨らませるだけでよければこれで充分。

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